世界の「KEIRIN」
世界で羽ばたく日本の自転車競技
静岡県伊豆市にある伊豆ベロドローム
2016年4月、「世界で戦える競輪選手を作る」ことを主目的として、JKAは、オリンピック自転車トラック競技の開催地である静岡県伊豆市に、新たなセクションである「自転車競技振興室」を立ち上げました。
自転車競技振興室では、海外からコーチを招聘し、日本自転車競技連盟(JCF)と連携しながら、最先端のコーチングプログラム構築や、世界で戦う競輪選手の強化及びトレーニング環境の改善に取り組んでいます。
オリンピック種目「ケイリン」
競輪は日本生まれの自転車競技ですが、その迫力や駆け引きの面白さが認められ1980年に世界選手権の種目として採用。2000年シドニーオリンピックからはオリンピック正式種目になりました。
その背景には、JKA(当時:日本自転車振興会)の取り組みもさることながら、国際自転車競技大会における競輪選手の活躍があります。1977年から1986年にかけて世界選手権10連覇を達成した中野浩一選手を筆頭に、競輪選手の活躍によって日本の「競輪」が海外に広く認知され、日本国内での競輪のイメージ向上にも寄与することになりました。
1996年のアトランタからは競輪選手がオリンピックに出場できるようになり、以来、多くのメダリストを輩出しています。
JKAの取り組み
2015年、日本競輪選手養成所の近隣にある「伊豆ベロドローム」が、オリンピック自転車トラック競技会場として決定しました。2016年11月、JKAと日本自転車競技連盟は、養成所と伊豆ベロドロームを拠点とした強化育成システムの構築を行い、世界で活躍できるトラック短距離選手を育てることを目的として、養成所内に「ハイパフォーマンスディビジョン(HPD)」を設置しました。
海外から2名のコーチを招聘し、最先端の機器とトレーニング理論によって、選手強化体制を再構築することになりました。
これらの取り組みの最終目標は、もちろんオリンピックでのメダル獲得です。
2020年6月4日(木)、東京オリンピックに出場する選手が発表されました。
今年の世界選手権でケイリン銀メダルを獲得した脇本雄太選手、ワールドカップ第5戦チームスプリントで金メダルを獲得した新田祐大選手、同大会オムニアムで銅メダルを獲得した橋本英也選手、昨シーズンのワールドカップ第3戦でケイリン銅メダルを獲得した小林優香選手ら現役競輪選手を筆頭に6名の選手が金メダル獲得に向けてレースに挑みます
彼らはトレーニング拠点である伊豆へ移住し、「世界で戦う競輪選手」となることに懸けています。
これまで世界の舞台でメダルをとることが稀な時代が長く続いてしまいましたが、ここ数年で競輪選手が世界の舞台でメダルを獲得すること自体珍しいことではなくなりました。私たちの次の使命は「世界で戦える競輪選手」を輩出し続けること、さらには「日本競輪世界最強」を国際自転車競技シーンに示すことに変化してきていると考えています。
自転車競技の振興
メダル獲得に向けた取り組み以外にも、自転車競技振興室の業務は多岐にわたります。
自転車競技をメジャースポーツへと進化させ、自転車競技者層を拡大すること。競輪と自転車競技、プロとアマチュアの垣根を取り払い、相乗効果によって双方の発展に繋げることなど課題は山積しています。
例えば、自転車競技者層の拡大を図るための取り組みとして、毎年、「ガールズサマーキャンプ」と呼ばれる女子競技者向けのトレーニングキャンプなども行っています。今後は、男子の競技者向けのキャンプも企画していく予定です。
また、自転車競技情報サイト「More CADENCE」による情報発信にも力を注いでいます。競輪をはじめ、トラック競技における活動や外国人選手に関する情報を掲載することで、世界のトップレベルで活躍する選手を多くの方々に知っていただければと考えています。記事を見て「競輪を体験したい」「トラック競技を観に行きたい」と思う人々を増やすことが目標です。
さらに、オリンピック、世界選手権メダリストをはじめとした海外トップ選手を日本に招致し、競輪に参加させる業務もあります。
外国人選手や所属する連盟との交渉など、スカウティングにも似た業務や招致した後の国内生活フォロー、管理など外国人たちと接触する機会も非常に多く、これも自転車競技振興室の業務の特色のひとつと言えます
国内における自転車競技者層の拡大をより一層図るために、助成事業にも取り組んでいます。自転車競技を振興する団体・事業者と協力することで、より多くの方々が自転車競技を経験することができる枠組みを整備しています。
担当者の言葉
日本において自転車競技は未だメジャーではありませんが、その注目度は高まりつつあります。自転車競技振興室の業務は、競輪に限らず自転車競技全般と関係しています。自転車競技全体にかかわる課題を解決するべく、正面からチャレンジしています。
課題が大きい分、困難なこともありますが、日々新しい発見があり、一つ一つの業務を積み重ね、やり遂げた時の達成感は忘れられないものとなります。
現状でとどまらず、新しいことにチャレンジし続ける意欲を持って、自分自身の能力やスキルを高めることができるのがこの業務の魅力です。